旅行が近づくと、ワクワクする反面「何をどれだけ持っていけばいいんだろう?」と悩む方も多いはず。特にファッションにこだわりのある方は、現地でおしゃれを楽しみたい一方で、持ち物が多くなりすぎてしまうジレンマを抱えがちです。そこで役立つのが「着回し」計画。少ないアイテムでも工夫次第で何通りものコーディネートが可能になり、スーツケースも軽く、荷物整理も楽になります。
旅行先でのコーデを事前にしっかりイメージし、目的や滞在日数、気候などに合った着回し計画を立てておけば、出先で「もう少し暖かい服を持ってくればよかった」「コーデがマンネリ化して写真映えしない…」なんて困ることが激減します。無理なく身軽に旅を楽しむためにも、まずは“着回し”を意識した旅行準備の基本を押さえてみましょう。
着回し計画を立てるにあたって、真っ先に考えたいのは「何をするための旅行か?」という点です。観光名所を巡るのか、ビーチリゾートでのんびりするのか、それとも山や森などアウトドアを楽しむのか…。旅先の活動内容が変われば、必要な服装も大きく変わってきます。
たとえば、ショッピングや街歩きがメインなら、歩きやすい靴と動きやすさを重視したコーデが中心となるでしょう。ビーチで過ごすなら、水着やカバーアップとして羽織れるシャツワンピなど、リゾートムードを演出できるアイテムが欠かせません。どのようなシーンに多くの時間を割くのかをイメージすることで、不要な服の持参を防ぎつつ、必要なアイテムをもれなく揃えることができます。
旅行の滞在日数や、その時期の現地の気候もしっかり把握しておくことが大切です。1泊2日と1週間では、持参するアイテム数はもちろん、着回し計画の組み立て方も変わってきます。短い日数ならば「アイテムを最小限にして荷物をコンパクトに」するほうが身軽で便利。一方、長期滞在なら「洗濯できる素材かどうか」「ワンシーズンだけでなく多少の寒暖差にも対応できるか」といった点も要チェックです。
また、同じ国・地域でも朝夕と日中の気温差が大きい場所や、突然のスコールが発生しやすいエリアなど、天候に変化の多いところがあります。羽織りものを1枚追加するだけで快適性が段違いになるケースも多いので、天気予報をこまめにチェックしながら、服装計画にゆとりを持たせることがポイントです。
着回しを成功させるコツの一つは「アイテム同士に共通点を持たせる」こと。特に、色味とシルエットの統一感は重要です。例えばトップスやボトムスを選ぶ際、落ち着いたモノトーンやベージュ・カーキなどのアースカラーでまとめると、組み合わせのパターンを増やしやすくなります。そこに差し色として明るいカラーのアイテムを1、2枚加えると、地味すぎないおしゃれを演出できます。
また、シルエットも大事なポイント。全てのトップスがオーバーサイズだったり、逆にすべてタイトなボトムスだったりすると、着回しパターンが偏ってしまいがちです。「ゆるトップス×タイトボトム」「タイトトップス×フレアスカート」など、バランスを取りながら組み合わせられるように意識してアイテムを揃えると、スタイルのバリエーションを保てます。
着回しを極めたいなら「カプセルワードローブ」という考え方が役に立ちます。これは必要最低限の服を厳選して、どれも組み合わせやすいように設計する手法のこと。一般的には「トップス・ボトムス数枚」「羽織りもの1~2枚」「シューズ2~3足」といった具合にアイテムを厳選し、それらを入れ替えながら多彩なコーデを作るのが基本です。
旅行の期間や行き先、テイストによって具体的に何を選ぶかは変わりますが、ポイントは「どのアイテムとも合わせられるかどうか」。買ったものの他のアイテムと全然マッチしない服は、たとえ気に入っていても旅行に持っていくと浮いてしまいがち。旅行の前に自宅で試着し、鏡の前でコーディネートを何通りか試してからパッキングすると失敗が減らせます。
頭の中でイメージするだけでなく、実際にコーデを組んでみることも重要。例えば、トップス2枚・ボトムス2枚・ワンピース1枚・羽織りもの1枚・靴2足など、まずは必要最低限の組み合わせを考えてみましょう。そこから「もう少し寒そうだから長袖を追加しよう」「このスカートと合うトップスを1枚足そう」などと微調整していくのです。
このとき、スマホのカメラ機能を使って鏡越しに自分のコーデを撮影すると、どの組み合わせが良かったか後で確認しやすくなります。また、「いつ、どのコーデを着るか」を旅行日程ごとに割り振っておくのもおすすめ。朝に迷うことも少なく、貴重な時間を無駄にしません。
着回しの大敵となるのが、季節の変わり目や予測できない気温変化。旅行中に寒波が来たり、意外に日差しが強かったりすると、用意したコーデが思った以上に合わないこともあります。そこで頼りになるのが、羽織りものやレイヤード前提のアイテム。例えば、薄手のカーディガンやシャツワンピは、寒いときのプラスワンにも、日差しの強い日の肩掛けにも使えて便利です。
また、レギンスやタイツ、ストールなどの小物も、急な気温変化に対応しやすいサポート役となります。これらを上手に取り入れれば、真夏の旅先でも屋内の冷房対策、夜間の寒暖差対策などに活躍します。着回し計画のなかに、「もし寒くなったらこれを重ねる」「もし暑くなったらこれを外す」といった予備プランを用意しておくと安心です。
旅行のコーデを決めるうえで意外と見落としがちなのが、シューズとバッグの着回し。服だけでなく、足元や持ち物もトータルで統一感を持たせると、おしゃれ度がぐっと高まります。靴は歩きやすいスニーカーやフラットシューズを中心に、必要に応じて一足だけヒールのあるものをプラスすると、幅広いシーンに対応しやすいでしょう。
バッグは、荷物の多い観光日にはリュックやショルダーバッグを、ディナーやパーティシーンにはクラッチバッグをといったように、目的に合わせて2種類ほど用意するのがおすすめ。色やデザインをあえてシンプルにまとめておけば、コーデの邪魔をせず、どんな着こなしにもフィットしてくれます。
旅行から帰ってきたら、ぜひ「結局使わなかったもの」を振り返ってみましょう。予想外に涼しかったから持参した薄手のカーディガンが大活躍した、あるいは意外と暖かくて分厚いジャケットは一度も着なかった…など、リアルな結果を記録しておくと、次の旅行での着回し計画に大いに役立ちます。
旅行は楽しむものですが、現地で過ごす時間は限られています。コーデに悩む時間を減らしつつ、満足度を上げるためにも「着回し上手」は欠かせません。色やシルエットの統一感、シューズ&バッグのトータルコーデ、そして季節やアクティビティへの対応力を意識して、ぜひ失敗しない旅の準備を進めてみてください。荷物が減り、旅先での服装の迷いも少なくなるはず。身軽になってこそ、旅行を思い切り楽しめるのです。